
その子のごはんを、もう少し知るために。
私自身、ずっと愛犬のごはんを手作りしてきました。
生食をしていた時期もあれば、加熱したごはんを作っていた時期もあります。
いろいろな食材を使って、いろいろな調理法を試してきました。
ワンコのごはんには、本当にいろいろな考え方があります。
生食がいいという考え方もあれば、加熱したほうがいいという考え方もある。
栄養基準をしっかり計算する方法もあれば、食材の組み合わせや、それぞれの食材が持つ働きを大切にする考え方もあります。
私は、どれかひとつだけが絶対に正しいとは思っていません。
それぞれの方法には、それぞれの考え方や理由があって、その中に良いところがあると思っているからです。
ただ、長く手作りを続けてきた中で、あるとき少し原点に戻って考えるようになりました。
手作りを長く続けていると、少しずつ「うちのやり方」ができてきます。
このくらい食べればちょうどいい。
この食材はよく使う。
この組み合わせならよく食べる。
など。
カロリーについては、毎日一緒に暮らして、体を触って、体重や体型を見ていれば、「少し足りないかな」「ちょっと多いかな」と分かります。
でも、ふと思ったんです。
栄養のバランスは、
今どうなっているんだろう。
いつものごはんを数字にして見てみたら、何が見えるんだろう。
それが、BT-Throbをつくろうと思ったきっかけでした。
ありがたいことに、私にはそれを形にできる環境がありました。
ただ、数字を見られるようにしたいからといって、数字を合わせることそのものを目的にはしたくありませんでした。
栄養基準は大切です。
でも、数字がきれいに揃ったから、その子にとって必ずそれが一番いいごはんになるとは限りません。
実際に食べているその子の体重や体型、運動量、体調、便の状態、食べたあとの様子。
そういうものも含めて、ごはんだと思っています。
毎日いちばん近くでその子を見ている飼い主だからこそ分かることもあります。
「この量だと少し痩せる」
「この食材を食べるとお腹が緩くなりやすい」
「最近よく動くから、少し足したほうがよさそう」
そうした、その子について飼い主がすでに持っている情報と、栄養のデータをつなげられるものにしたいと思いました。
ごはんのスタイルも、それぞれでいいと思っています。
生食でも、加熱食でも、フードでもいい。
フードに少しだけトッピングする日があってもいい。
その中で、
「あ、このごはんなら、これを少し足すとこんな栄養がとれるんだ」
「思っていたより、ここは足りているんだな」
「いつも同じものに偏っていたかも」
そんな小さな発見ができたらいいなと思っています。
食材を選ぶときも、数字だけを見るのではなく、
「最近これが続いているから、今日は違うものにしてみよう」
「この食材には、こんな栄養があるんだ」
そんなふうに、少しずつ食材を見る目が広がっていったらいいなとも思っています。
それと、できるだけ「その子」に合わせられるものにしたいという思いもありました。
必要なカロリーを計算するための基準はあります。
でも、それはあくまで基準です。
同じ体重、同じ年齢でも、運動量も違えば、体質も暮らし方も違います。
だから、計算式から出た数字だけではなく、実際にその子を見ながら「この子はこのくらい」を基準にできるようにしたい。
一般的な正解にその子を合わせるのではなく、その子を見ながら調整できるツールにしたいと思いました。
そして、もうひとつ大切にしたかったのが、無理なく続けられることです。
毎回の食事を完璧にしなければいけない、とも思っていません。
一食では足りないものがあっても、何日かの食事を通して見れば補えていることもあります。
毎回すべてを揃えようとすると、ごはん作りそのものが大きな負担になってしまいます。
長く続けるためには、栄養のことだけでなく、作る人の生活の中で無理なく回ることも大切だと思っています。
だからBT-Throbでも、数字を見て終わりではなく、
「こんな方法もあるよ」
「今日はこれを少し足してみてもいいかも」
そんなふうに、次のごはんを考えるきっかけになればいいと思っています。
BT-Throbは、毎日記録するだけが使い方ではありません。
何度かごはんを入力して、
「なるほど、うちのごはんってこんな感じなんだ」
と分かったら、それだけでもいい。
気になったときにまた開いて、今のごはんを見直す。
もちろん、毎日の記録として続けてもらえたら、それも嬉しいです。
そしてBT-Throbには、食事以外にも残せるものがあります。
普段はフードだから、ごはんの記録はほとんどしない。
でも、体重や体調を残す「この子の日記」として使う。
お腹を壊した日に、「昨日何を食べたっけ?」と振り返るために使う。
そんな使い方でもいい。
手作りをする人だけではなく、
その子の毎日のことを、
少し見える形で残してみたい。
そう思ったときに、必要なところだけ気軽に使ってもらえたら嬉しいです。
もうひとつ、これから作っていきたいものがあります。
「手作りごはんをやってみたいけれど、何をどのくらい入れたらいいのか分からない」
そんな人が、最初の一歩を踏み出しやすくなる入口です。
最初から栄養の数字を全部覚えたり、たくさんの食材をそろえたりする必要はないと思っています。
難しく考えすぎると、ごはんを作ることそのものが負担になって、続かなくなってしまうこともあるからです。
冷蔵庫にある身近な食材から、
「まずはこんなものを、このくらいから」
そんなふうに始められる入口も、これから少しずつ作っていきたいと思っています。
続けていくうちに、
こういう調理スタイルであげたい。
この考え方を大事にしたい。
こういう食材を使いたい。
きっと、それぞれの「うちのごはん」ができていきます。
BT-Throbも、その「うちのごはん」を考える中で使ってもらえるツールでありたいと思っています。
その子のごはんを、もう少し知ること。
そして、今日のごはんを考える小さなきっかけをつくること。
数字にその子を合わせるのではなく、
その子を見るために、数字を使う。
BT-Throbが、そんな存在になれたらいいなと思っています。